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腸内細菌叢のゲノム科学

服部正平
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 オーミクス情報センター

 宿主ヒトの生理に対する腸内細菌の役割として、食事成分の代謝によるヒト細胞の栄養成分やエネルギー源の生産、免疫系の成熟化と恒常性維持、病原細菌に対する感染防御等の有益な機能が知られている。一方、クローン病・潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患、大腸がん、肥満等の様々な疾病の有害要因でもある。しかしながら、腸内細菌叢の実体やそれが有する有益・有害機能に関わる分子種や分子機構のほとんどはわかっていない。また、有益性を示す様々なプロバイオティクスが開発されているが、それらの有効性に関わる分子機構も曖昧なままである。
 このヒト腸内細菌叢の研究における困難さの理由として、腸内細菌叢が1000菌種以上からなるきわめて複雑な細菌叢であること、個人間での多様性が大きいこと、多くの菌種が難培養性であること等を挙げることができる。
 この難攻不落の細菌叢の実体やその機能を解明することを目指したヒト常在菌叢メタゲノム計画(International Human Microbiome Project)が2008年より日米欧中等の国際協力で始動した。この計画では、メタゲノミクスに代表されるゲノム科学的手法を駆使して、数百名の健康及び病態患者の消化器系、鼻腔、口腔、皮膚、泌尿器系常在菌叢のメタゲノム解析(遺伝子情報の取得)、常在菌の個別ゲノム解析(個別機能情報とreference配列の取得)、16S解析(菌種情報の取得)を行う。さらに、被験者の様々なメタ情報も収集する。また、上記解析は超高速シークエンサーを用いて行い、より解析深度(網羅性)と定量性の高い情報の獲得を目指している。これらの膨大な情報リソースは、常在菌叢研究を著しく加速するとともに常在菌叢-宿主間相互作用を基盤とした新たな創薬戦略や疾病予防法の開発等にも展開すると期待される。  本セミナーでは、次世代シークエンサーを用いたヒト腸内細菌叢のゲノム研究の現状と将来展望について解説する。

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