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BMFH論文紹介

Anti-Allergic Effects of Kakrol (Momordica dioica Roxb.) Flesh Extract
カックロール果肉抽出物の抗アレルギー作用

Yoon Hee KIM, Megumi IDA, Shuya YAMASHITA, Shuntaro TSUKAMOTO, Motofumi KUMAZOE, Mami SUMIDA, Mitsuo KAWAKAMI, Koji YAMADA and Hirofumi TACHIBANA
Bioscience of Microbiota, Food and Health, Vol. 31 (2012) No. 1, pp.1-6

 近年、いくつかの食品成分が免疫機能を調節すること、特にアレルギーに繋がるような過剰な免疫反応を制御することがわかってきています。さらに、アレルギー抑制メカニズムについても、明らかにされつつあります。九州大学農学研究院の立花宏文教授らのグループは、茶をはじめとして、アレルギー抑制因子とそのメカニズム解明に取り組んでいます。
 本研究では、バングラデシュ原産の“苦くないにがうり”である「カックロール」を、水、50%エタノール、あるいは100%エタノールで抽出し、これら抽出物の抗アレルギー作用について、ヒト好塩基球細胞株 KU812 を用いて調べました。その結果、水抽出物が、KU812からのヒスタミン遊離を最も強く阻害することが分かりました。続いて、アトピー性モデル動物であるNC/Ngaマウスを用いて、アトピー様症状の改善効果について検討しました。カックロール水抽出物を経口摂取することによって、ピクリルクロライドで誘発した皮膚障害が緩和されました。また、マウスの血中IgE値が低下し、炎症性サイトカインのレベルも低下しました。以上の結果は、カックロール水抽出物がin vitroおよびin vivoにおいて、アレルギー反応に対して治療的に働きうることを示しています。

(文責 田辺創一)

Identification of Immunopotentiating Lactic Acid Bacteria that Induce Antibody Production by in vitro Stimulated Human Peripheral Blood Mononuclear Cells
ヒト末梢血細胞の培養系で抗体産生を誘導する潜在的な免疫調節作用を示す乳酸菌の同定

Makiko YAMASHITA, Akira HITAKA, Himiko FUJINO, Takashi MATSUMOTO, Takanori HASEGAWA, Fumiki MORIMATSU, Tsukasa FUJIKI and Yoshinori KATAKURA
Bioscience of Microbiota, Food and Health, Vol. 31 (2012) No. 1, pp.7-13

 さまざまな食品に利用される乳酸菌が宿主の免疫機能に影響を及ぼすことはよく知られており、近年、乳酸菌の免疫調節作用のメカニズム研究が盛んに進められています。九州大学農学研究院生命機能科学部門の片倉喜範准教授らのグループは、アンチエイジング食品創製に向けた食品機能学的研究の一環として乳酸菌の機能性解明を目指した研究に取り組んでいます。
 本研究では、ヒトの末梢血からリンパ球を調製し、抗体1)産生促進作用を指標として各種乳酸桿菌(Lactobacillus)の特性を比較しました。その結果、8株の乳酸桿菌の中から高い抗体産生促進作用を示す菌株としてLactobacillus plantarum L32を選抜することができました。L32株は、末梢血の培養に添加すると、T細胞の活性化を介してB細胞の抗体産生を促進しました。さらに、L32株で刺激後のT細胞およびB細胞の活性化パターンはToll様受容体2(TLR2)のリガンドであるLTA-BSで刺激後のパターンと類似していました。これらのことから、L32株とLTA-BSは末梢血細胞に免疫応答を促進するアジュバントとして利用できると期待されます。

1)抗体:病原菌、ウイルス、毒素などの外来抗原と特異的に結合し、感染の防御や有害物質の抑制に働く糖タンパク分子。抗原を認識したB細胞がT細胞の補助を受けて産生する。

(文責 南野昌信)