設立趣意書

 健康であることは、全ての人々の望みであり、先進諸国のなかでも類を見ない速さで高齢化が進む我が国においても、健康とりわけ健康に老いることに強い関心がもたれています。この健康の維持・増進、更には疾病の予防・早期回復などにおいて、食品の果たす役割は極めて大きなものがあります。近年、食品のもつ生体調節機能についての研究が活発に行われ、様々な生理機能が明らかにされつつあります。

 なかでも免疫調節機能は最も重要な機能として注目され、国内外の学会・産業界の研究の進展はもとより人々の関心も日々高まってきています。この様ななかで免疫調節機能をもつ食品・食品成分などに関する情報が巷間を賑わしていますが、これらの情報には、検証が十分ではなく科学的根拠の乏しいものも少なくありません。更に、食品による免疫調節機能については組織的な研究が行われていません。

 このような状況下で、食品免疫に関する研究に取り組んでいる産学官の有志の研究者が、食品のもつ免疫調節機能の体系化・評価方法の確立を目的として、平成13年10月に食品免疫学研究会を設立致しました。

 本研究会は、世界に先駆けて、これまでに各国で行われた食品の免疫調節機能に関する最新の研究成果の科学的体系化を行い、その評価方法と評価基準をまとめてまいりました。その体系化作業を通して「食品にはヒトの免疫機能を増強、向上させる調節性の成分が含まれていること」「適切な免疫学的指標を選択し評価することで、食品のもつ免疫調節機能に関する効果を検証することは可能であること」という事実が明らかとなりましたことから、この結果を産学官の研究者に広く発信し、多くの研究者と討論する必要性を痛感いたしました。

 そこで、食品免疫学を新しい科学分野として確立させ、食品の免疫調節機能に関する科学的根拠を提供しつつ、その関連分野を進歩発展させることにより国民の健康維持増進に貢献することを目的として、「日本食品免疫学会」を設立することと致しました。

 ついては、食と免疫に関心のある多くの専門分野の研究者および学生の方々、実際に食と免疫に関わっている企業の方々に参加をお願いし、本学会を会員相互の情報交換と議論のできる場としていきたいと考えております。

 本学会の設立趣旨にご賛同賜り、多くの皆様にご入会いただきますようご案内申し上げます。

平成16年6月1日